国際刑事裁判所(ICC)と日本 for KIDS!

2007年12月、日本からICCのさいばんかんが誕生しました!(^o^y

解説その4!『ローマ規程』の機能って?

●ローマ規程の役割:補完性の原則

ローマ規程には、前に説明した「免責の穴を埋めること」という役割のほかに、重要な機能があります。それはローマ規程に批准するために、締約国(ていやくこく=参加する国)がローマ規程と同じ法律を国内でも作ることを広げることにあります。なぜこうなるのか、その仕組みを説明しましょう。

ローマ規程はルールブックです。その主な役割は、「免責(めんせき)の穴を埋める」ために、3つの犯罪を裁けるシステムを作り上げること。このルールに賛成する国(締約国)は、このルールを守れるよう、国内の法律を変えたり、合わせたり、新しく作ったりする必要があります。簡単にいうと、3つの犯罪を、ICCでなくても国内でも裁けるようにしてしまうんです。「あれ、それじゃあICCは必要ないじゃん」と思うでしょう?ところが、違うんです。

日本のような独立した国家には、主権(しゅけん)というものがあって、それは国際的に、国家に認められた権利です。この主権によって、国家には独立した司法管轄権(しほうかんかつけん)、つまり、「自分たちで作った法律を自分たちで実行したり守リ抜く権利」を持ちます。

ICCは、こうした国家のもつ主権を補完(ほかん)するシステム。つまり、足りないところを、補って(おぎなって)あげるシステムなんですね。これを、ICCの「補完性(ほかんせい)の原則」といいます。ICCは国家の主権を越えたりしない。でも、足りないところを補うことはできる。そういう、システムなんです。

ICCの締約国は、ICCが自分の国の主権を補完することを、前もって認めています。それが「批准」するということですから。つまり、どうしてもICCと同じ法律が作れなくても、その場合はICCが、かわりにやってくれるということなんですね。この仕組みがちゃんと機能すると、どうなるか。わかりますか?

そう、ICCと国家の両方によって、免責の穴が埋められるのです!

ICCだけでは、いくら国際条約でもすべてに単独(たんどく=自分だけ)で対応することはできません。国家も、単独ではすべてに対応することは不可能です。だから、ICCと国家がお互いに補完し合うことを認めあうこと(=補完性の原則)で、ICCはひとつの大きな仕組み、「システム」を作り上げるのです。

この補完性が機能するシステムがある状態のことを、普遍的管轄権(ふへんてきかんかつけん)の成立した状態といいます。これこそが、ローマ規程の狙いなんです。

次回は、この狙いについてもっと詳しく説明しましょう。